リケジョ大学生インタビュー (1)
川村 有咲
八戸工業大学で生き生きと学んでいるリケジョにお話を伺います。第1回は、小さいころから機械いじりが大好きだった川村有咲さん。中学・高校卒業時は周りの人に機械工学の学科に進学することを反対されましたが、川村さんは好きなことにつながる道をあきらめませんでした。
――工業高校から八戸工業大学へ進学されたとのこと、根っからの工学好きなんですね。
はい、機械いじりやものづくりが大好きで。小学生のときから、親が使わなくなったカメラをもらって分解したり組み立てたり、おもちゃからモーターを取り出して、別のおもちゃをつくって動かしたりして遊んでいました。
中学卒業後は工業高校の機械科に進むつもりだったのですが、周囲の大人に「あなたは普通科高校に行ったほうがいい」「女の子が機械科でやっていくのは大変だよ」と反対されてしまったんです。それでも工業高校に行くことだけはあきらめたくなくて、さほど反対されにくい情報科を選び、八戸工業高校に進学しました。
入ってみて知ったことですが、八戸工業高校は八戸工業大学と関係が深いんですよね。大学が学年全員をキャンパスに招いて進路に関するレクチャーをしてくれたり、実験や実習の体験をさせてくれたり。希望の学科の先生に話を聞かせていただく機会もありました。それで私は、絶対に八戸工業大学に進学したい!と。
――今度は反対されませんでしたか?
工業高校は卒業後の就職に困ることはないので、いろんな人から「わざわざ進学しなくてもいいのでは」と言われました。でも、やりたかった機械系の勉強ができないまま就職してしまいたくなくて。今度は自分の意志を通して、八戸工業大学の機械工学科に進学しました。
将来は技術者になりたいので、技術系の資格が多くとれるコースを選びました。やりたかったことなので何をやっても楽しいですが、とりわけ好きなのは機械設計です。自分がイメージした機械を図面にして、試行錯誤しながら自分で作り、最終的にちゃんと動くものができたときの「やった!」という達成感はたまらないですね。
――技術系の資格は数が多く、種類もさまざまでしょうね。
はい、履修した授業だけでは自分がとりたいと思う資格に必要な知識や技術がカバーできないこともありました。どうしたものかと思って先生に相談してみたら、そのための補習を毎週一コマ組んでくださり、旋盤を使う練習にもつきあってくださったんです。カリキュラムとして決められたことだけでなく「自分がやりたいこと」を支えてくれる大学なんだ、と感動しました。
――八戸工業大学は部活動もあるんですよね?
はい、私が所属しているのは「動力研究部」です。エンジンやバッテリーで動く一人乗りの車を作る部で、燃費の良さを競う大会に向けて、日々、改良を加えています。私は体格が小さいこともあって、大会では電気自動車のドライバーも務めています。
ガソリン車は全国大会で2位になったことがあります。1リットルで300キロ以上走れるんですよ。電気自動車は昨年、地方大会で3位に入りました。
――大学3年生というと、そろそろ就職活動の時期でもありますね。
はい、機械設計の仕事ができる会社に行きたいです。八戸にも多くの会社がありますが、地元以外の新たな土地で就職したいと思っています。ただ、いろんな会社の事業内容や社風を知りたくても遠方だと企業訪問も簡単ではないので、得られる情報が限られてしまうのが悩みの種ですね。
――となると、入りたい企業をどう探すのですか?
先生が教えてくれる企業説明会やインターンシップの情報に助けられています。先日も、秋田の包装資材メーカーで説明会に学生を招いてくれるところがあると教えてもらって、参加してきました。その会社には大学OGの方も就職されていて直接お話も伺え、とてもいい企業訪問になりました。
――地元を出て就職することに対して、親御さんは何かおっしゃっていますか?
高校や大学の進路選択ではいろいろ心配もしたけれど、いま、自分自身の選択で入った大学でこんなに楽しくやっているのだから、就職は自分の好きなところに行きなさいと言ってくれています。好きなことをあきらめなくてよかったです。
――中学生や高校生の後輩にメッセージがあれば。
機械が好きなんだけど、女子が工業大学や機械科に進んでも大丈夫かな……と不安な人こそ、八戸工業大学に来て! と伝えたいですね。勉強も資格取得も、就職に関しても面倒見のいい先生ばかりだから、安心して学生生活が送れるよ、と。
八戸工業大学 工学部 機械工学科 3年
川村有咲 (Arisa KAWAMURA)
青森県八戸市出身。八戸工業高等学校を卒業後、八戸工業大学工学部機械工学科(2023年に工学部工学科機械工学コースに改組)に入学。国家資格である「技術士」の育成を目標としたJABEE認定コースで学ぶ。部活動では動力研究部に所属。
※学年は取材日(2023/11/13)現在
記事公開日 2024/1/30
取材・構成 江口絵理