リケジョ応援企業インタビュー (1)

六ヶ所エンジニアリング

附田妙子 社長

一見、腕力や体力が必要とされそうに思える、巨大な機械や設備をメンテナンスする現場でもリケジョは活躍できるでしょうか? 六ヶ所エンジニアリング株式会社の附田妙子社長は、「いま、“男性でないとできない仕事”は減ってきているんです」と話してくれました。 

――事業について簡単に教えていただけますか?


主な事業は、青森県六ヶ所村の原子燃料サイクル施設や石油備蓄基地・公共工事で請け負っている、機械・設備の点検や改修、施設内の設備や電気の工事、土木工事などです。

 

そのほかの事業も非常に多岐にわたっています。ひとつ例を挙げるなら、ここ数年は、特殊な部品が必要となったときに自社で製作できるように、微細な金属加工ができる設備を導入し、同時に人材育成も進めています。 


実はその事業部には八戸工業大学感性デザイン学部出身の女性社員がいまして、デザインの知識や図面制作の技術が発揮できるこの事業部で活躍してくれています。

 

八戸工業大学さんとはご縁が深く、2023年には感性デザイン学部の学生さんと当社とのコラボレーションで、六ヶ所村をアピールするモニュメントを制作しました。 

――御社の女性社員は現場で働いている方が多いのですか?


はい、広報部門など事務所勤務の女性社員もいますが、工場や施設などの現場で技術者として働いている女性が多いですね。たとえば放射性物質を扱う施設で、周辺の環境への影響を調べる部署の女性社員は、野外から試料として採集された植物や魚をラボで分析しています。

 

そのほか力仕事が多そうに見える設備メンテナンスや土木系の仕事でも、DX化、分業化、効率化が進むにつれ、「男性でないとできない仕事」は徐々に減りつつあります。

 

現場で働きたい女性に対して、私は、「その仕事は女性では無理だよ」と言いたくないんです。女性のキャリア選択の幅を狭めたくない。もし「女性だからできない」仕事があるなら、どうしたらできるようになるかを一緒に考える会社でありたい、といつも思っています。


――「どうしたらできるかを考える」とは? 


たとえば、原子燃料再処理設備などで使われる大きなホースの口(継ぎ手)の部分は、厚い金属で頑丈にできているのですごく重いんですよね。女性の力では、ホースをしかるべき場所に接続するのに苦労することも少なくありません。

 

数年前、当社の女性社員が現場で、「腕力に頼らなくても継ぎ手をはめられる器具があればいいのでは」と思いつきました。彼女は、社内でさまざまな知識を持つ人に教えてもらいながら器具(このような器具を「治具(じぐ)」と言います)を考案し、当社の設計技術課と工場が金属加工機で製作し、それを会社として製品化したんです。

この治具開発は「日本保全学会」という学会で最優秀賞をいただきました。保全に関わる現場の社員が思いついて具体的なアイデアを出したこと、発案から製作まで社内で実現したこと、そして女性が働きやすい環境を作ることに貢献したこと、この3点が評価されたのだと思います。

 

――現場で働きたい女性が勇気づけられるエピソードですね。

 

現場の仕事が好きでも、女性だと妊娠・出産などで現場を離れざるを得ないこともあるでしょう。そのようなときには事務系の部署に異動したり、育児が一段落したらまた現場に戻ったりできるように、現場を一度離れてもキャリアを積んでいける体制を作っていきたいと考えています。女性が仕事しやすい環境を作るためのワーキンググループも活動しています。

 

――就職や配属という「入り口」だけでなく、入社後も女性にキャリア選択の幅を、という方針が一貫しているのですね。附田さんご自身も、子育てが落ち着かれたところで社長業につかれたとか。

 

前社長の夫から急に社長を引き継ぐことになった、という特殊な道筋ではありましたが(笑)、たしかに、子育てから手が離せない時期は子どもが大きくなってからのここ数年ですね。私は文系出身なので、それまでまったく縁がなかったこの業界のことを勉強しながら仕事をする日々です。

 

――理系の女子学生に期待することはありますか?

 

理系の学問は、仮説を立てて、実験をして、結果を見て、その結果を見て改善してまた仮説を立てて……という進め方をしますよね。そうしたPDCAのサイクルが学生のうちから回せるようになっている人は企業にとって、ぜひ採用したい存在です。

 

また、私自身が文系出身なのでその反省をこめてお話ししますと、文系だと、世の中は設備メンテナンスなどのさまざまな業種があって回っていることをあまり知らずに就職先を決めてしまう人が多いのではないでしょうか。私も中高生や大学生のころは、カフェをやってみたいとか、起業してみたいとか、イメージできる職種の幅が狭かったように思います。

 

一方で、理系の方は大学での勉強の延長にさまざまな業界があるので、当社のような会社を含めた多様な業種・職種が目に入り、結果として就職先のバリエーションが広がるのではないかと思います。そしてそれは当社にとってもありがたいことです。ぜひ、就職先の選択肢として考えてみていただけたら。リケジョの皆さん、お待ちしています。


六ヶ所エンジニアリング株式会社

https://r-e-c.co.jp/

記事公開日 2024/1/5

取材・構成 江口絵理