HITリケジョLABOメンバー・インタビュー(6

赤坂 友貴奈

(八戸工業大学 教育・学生支援部 主事

東京のお茶の水女子大学理学部に進学した赤坂さん。生粋のリケジョかと思いきや、大学時代に「生物は好きだけれど、自分は一つを極めたいというタイプではない」と気づいたそう。理系の専門職を選ばなかったリケジョのロールモデルとしてお話を伺いました。

――もともと理系科目が得意だったのですか ? 


いえ、お恥ずかしいことに、“消去法”で理系に進んだんです(笑)。実は文章を読むのが苦手で、もちろん国語も不得意科目でした。 


大学受験でもセンター試験(いまの共通テスト)の点数が伸びず、第一志望の食物栄養学科は絶望的で……。でもなぜかそこでギアが入り、開き直って二次試験の準備に集中したことがよかったのか、第二志望の生物学科に合格できたのでした。


――生物に興味があったのですか?


生物の副読本の図説で、体の中で何が起こっているのかとか、臓器の働き、植物の細胞のしくみを見るのが好きでした。

 

ただ、大学に入って1年、2年と過ごすうちに、周りの「本当の生物好き」の人たちと自分は違うな、ということがわかってきました。たとえばカメが好きな人ならカメのグッズを山ほど集めていたり身に着けていたりと、日常生活でもカメへの愛があふれているんですよね。食事の時間も休憩時間も、ついついその研究対象の話をしてしまう、という熱意を感じました。

 

一方で、私はそこまで一つのものに熱中するタイプではない。それに気づけたのはよかったです。そこで、就職活動では理系の職種にこだわらずに探すことにしました。様々な選択肢の中で迷う時間も長かったのですが、最終的に優先したのは、「地元の八戸で就職すること」でした。 


――大学の事務とはどういう仕事ですか? 「事務」というと書類を作ったり確認したりする仕事、というイメージぐらいしかわかない人も多いと思いますが。 


大学の先生の仕事は主に「研究」と「教育」ですが、事務はそれ以外の仕事のほとんどを担っていると考えていただくといいかもしれません。

 

たとえば、授業のカリキュラム調整や、奨学金を受けたい学生のサポート、先生方の研究の特許に関する手続き、大学全体の予算やお金の出入りを管理する仕事など、その部署その部署で、必要とされる知識や経験、配慮すべきことは違います。

 

また、八戸工業大学の系列の高校・中学、幼稚園で働くこともあり、職場もさまざまです。私は数年ごとに新たな部署に異動しているので、 職人肌で一つのことを突き詰めるよりは“浅く広く”のタイプである私には合っているなと思います。


――どのようなときにやりがいを感じますか? 


今は学生と接することが多い部署にいるので、やはり学生が卒業するときでしょうか。「八戸工業大学で学んでよかった」「ありがとうございました」という声をかけてもらったときは、私も学生さんのお役に立てたのかもしれない、とうれしく思います。

 

ただ、事務には、先生方にできるだけ多くの時間を本業である研究・教育にかけていただけるようにする、という大事な役割もあります。

 

例えば、研究や教育に関する制度や規定は数が多く、改正も多いので、大学の先生方でも知りたい情報にたどりつくまでに苦労されるケースが少なくありません。そんなときに、事務の私から正確な最新の知識で説明ができればいいのですが、まだまだ私自身は知識不足だなと痛感しているところです。

――そのためには知識や情報を自分でアップデートしていかないといけないですね。 

 

え、私が苦手とする「文章を読む」仕事です(笑)。まるで法律の文書のような書面を読み解くのに毎日苦戦していますが、書かれていることを自分なりに「これが一般的な話で、こちらが例外の話」などと整理して、図にしてみることで全体像を理解するようにしています。

 

――高校や大学で理系を選ぶと、就職も理系職種を選ぶもの、とつい思ってしまいますが、いろんな就職先がありえるのですね。 


先日、とある高校の先生に「進路指導というとどうしても『将来なりたい職業は?』から始めるが、そもそも中高生が知っている職業の数は少ない。その中から決めなくてはいけないと感じさせてしまうのはよくない」というお話を聞きました。

 

たしかにその通りで、職業名や「その仕事につくには理系に進むべきかそれとも文系か」ということにとらわれず、自分の好きなこと、あるいは、私のように“苦手なことから遠いこと”を優先して進路や就職先を決めたりしてもいいように思います。

 

「リケジョになろう!」と言われると、理系専門職をイメージしますし、ネットなどで見られる情報も華々しい専門職女性の紹介が多いですよね。でもそういう道ばかりでもないよ、と中高生にお伝えしたいです。

 

高校生のときに「なんとなく好き」で理系を選んだからといって、理系の専門職をめざさなくてはいけない、ということはない。経験とともに見えてくる仕事の種類が増え、自分に合った仕事が探せるようになっていくかもしれません。わくわくできるものを見つけて、実際に一歩足を踏み出してみる。そこから世界を広げていってくれたらと思います。


赤坂 友貴奈  (Yukina AKASAKA)


八戸工業大学 教育・学生支援部 主事

 

青森県立八戸高等学校から、東京のお茶の水女子大学理学部生物学科に進学。2014年より学校法人八戸工業大学で勤務。総務課、八戸工業大学第二高等学校事務室、八戸工業大学事務部などを経て現職。  

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八戸工業大学「HITリケジョLABO」

rikejo@hi-tech.ac.jp 


記事公開日 2024/5/2

取材・構成 江口絵理